自分で自由にデザインし、製本できるフォトブック。
自分の写真、いわゆる「自撮り」や子どもの写真などを、何かの記念や成長記録としてフォトブックにまとめることは特に問題がありませんが、使用する写真によってはフォトブックにすると問題が発生する可能性もあるのです。
この記事では、写真やフォトブックの話をするときに避けては通れない「著作権」や「肖像権」について簡単に解説します。
フォトブックで気を付けるべき著作権・肖像権について
著作権と肖像権の違い
「著作権」と「肖像権」、どちらも聞いたことがある単語ですよね。写真について考えるとき、この2つがごちゃまぜになってしまうことがありますので、まずは簡単にこの2つについてざっくり説明をします。
なお、この記事の大前提として、「他人の権利を侵害してはいけない」という点があります。その点を念頭において読んでくださいね。
①著作権
「著作権」とは、小説・絵・漫画・音楽などの作品を制作した人が持っている、その作品に関する権利のことです。誰かが制作した作品はその制作者に「著作権」がありますから、第三者が勝手に使うことはできません。
②肖像権
「肖像権」とは、肖像(見た目や写真)についてその本人が持つ権利のこと。もっと端的に言うと、他人に勝手に写真を撮られたり、勝手にその写真を公開されたりしない、という権利のことです。
肖像権の概念はさらに大きく2つに分けられます。
■プライバシー権
「Aさんは○月○日に××駅で赤い洋服を着て立っていた」ということがわかる写真があったとしましょう。その写真が誰かに公開されることで、Aさんは他人に自分の情報を知られてしまうことになります。これはいわゆる「プライバシー権の侵害」にあたります。
■パブリシティ権
これは特に芸能人・有名人などに言えることですが、ときに「肖像」は何かの商業的な価値を高めることができます。「歌手・Bさんも愛用の栄養ドリンク!」などといううたい文句とともにBさんの写真が利用されると、Bさんのファンは買ってしまいますよね。それが「商業的な価値を高める」ということであり、それをBさんの許可なく行うことはできません。これがパブリシティ権です。
「個人利用」と「商用利用」
著作権についても肖像権についても、問題となってくるのは「個人利用」と「商用利用」の線引きです。たいていの場合「個人利用に限ってはOK」という場合も多いのですが、その線引きは非常にあいまいです。
フォトブックを作成するときに考えられるいくつかのパターンについて、具体例を考えていきましょう。
①ディズニーランド・ディズニーシーでの写真
ディズニーの映画やキャラクターは「著作物」で、これに関する権利は「著作権」です。ディズニーは著作権に厳しい、というのはあまりにも有名な話ですよね。
■個人利用と考えられる例
ディズニーランド・ディズニーシーで楽しんでいる自分たちの写真を、自分たちの思い出のためにフォトブックを作成。遊びに来た人などに見せてあげる
■極端な商用利用の例
ディズニーランド・ディズニーシーにいるキャラクターの写真ばかりを集め、「ミッキー特集」などとタイトルをつけたフォトブックを作成し、それをミッキーファンに販売する
②プロスポーツを観戦したときに撮った選手の写真
これは人の写真ですから、肖像権の問題です。
■個人利用と考えられる例
試合中の選手の写真を撮り、それをまとめたフォトブックを作成し、ファン仲間に見せてあげる
■極端な商用利用の例
試合中の選手の写真をまとめたフォトブックを「C選手も試合中に使っているこの靴、うちのお店でも売っていますよ!」というような宣伝に使う
③LINEスタンプのキャプチャ画面
フォトブックを作成する際、写真だけではなくLINEのやりとりの様子も入れたい、と思うこともあるでしょう。でもちょっと待ってください。そのやりとりにスタンプを使っていませんか?スタンプは制作者の「著作物」であり、載せ方によっては問題になる可能性があります。
■個人利用と考えられる例
カップルや家族のフォトブックを作るとき、仲の良い様子を示すためにLINEのキャプチャ画面を入れる
■極端な商用利用の例
そのフォトブックを大勢に配布したり、販売したりする
④芸能人・有名人の画像
大好きなアイドルの写真をフォトブックにまとめたい、そう思うファン心はわかります。しかしこれは「肖像権の侵害」にあたる可能性がありますので、注意が必要です。
■個人利用と考えられる例
「友人とコンサートへ行ったときに、アイドルの顔が載っているうちわと一緒に撮った写真」「アイドルが表紙になっている雑誌が写っている自室の写真」をフォトブックにする
■極端な商用利用の例
アイドルが載っている雑誌の切り抜きを全部撮影してフォトブックにまとめ、ファン仲間に販売する。
フォトブック作成のときに気をつけること
①人が思う以上に著作権・肖像権は厳しい!
先ほども書きましたが、「個人で楽しむ」という線引きは非常にあいまいです。
それぞれの権利を侵害された人達が、個人でフォトブックを作った人全てにその権利を主張するか、…というと、正直そんなことはないでしょう。あなたの身の回りにも、「これ、絶対許可とってないでしょ!」というような商品が、フォトブックに限らずあふれていることでしょう。
しかし、「フォトブックの存在が、権利を主張できる人達のものに絶対に届かない」という保証はありません。その点はきちんと覚えておきましょう。
②必要であれば、業者に事前の確認を!
「これ、ちょっと微妙かな」と思ったときは、事前にフォトブックサービスの利用規約を確認しましょう。 業者によっては利用規約に「著作権・肖像権を侵害する写真はだめ」と明記しているところもあります。
一律「だめです」というとこともあれば、「個人利用のみです」という同意書を出せばOK、というところもあるようですよ。
万が一「これは商用利用ではないか?」と疑われてもはっきり「違います、個人利用です」と言えるように、あらかじめきちんとした知識をつけ、楽しいフォトブック生活を送りたいですね。